※2型糖尿病に関する記事です。
生活習慣や社会環境の変化、人口の高齢化などに伴い増え続けている糖尿病患者。
現在日本において患者数は300万人を超えており、糖尿病の可能性を否定できない人はなんと1,000万人を超えています。
そんな糖尿病ですが、高血圧や脂質異常症(高脂血症)と同様にこれといって大きな自覚症状がなかなか無いのが手強いところ。
そして何年も放置していると重篤な合併症に至ってしまうというのが糖尿病という病気の本当に恐ろしいところです。
自覚症状に乏しい糖尿病ですが、典型的な症状というのはあります。
今回はそれを紹介することで、糖尿病の早期発見に役立つ記事にできたらと思います。
糖尿病の概要
糖尿病とはインスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主な特徴とする病気(代謝疾患群)です。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病は遺伝素因等何らかの原因でインスリンを合成・分泌する膵臓(すいぞう)の細胞が破壊され、絶対的なインスリン欠乏に至る病気です。
一方2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を生じさせる遺伝因子に、過食(とくに高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症します。生活習慣病と認識され、国民病とも言われている糖尿病はこの2型糖尿病のことであり糖尿病全体の90%以上は「2型糖尿病」です。
症状は
1.膵臓(すいぞう)からのインスリン分泌の遅延・低下
2.インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)
であり、これにより血糖値の高い状態が続くことで血管を傷つけます。
結果として三大合併症の網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害という重篤な合併症を引き起こす病気です。
また、これ以外にも心臓の病気、歯周病、認知症のリスクも上がると考えられています。
糖尿病治療の目標は、合併症の発症や進行を阻止することです。
そのために血糖、血圧、コレステロール値、体重などをコントロールする必要があります。
糖尿病合併症については下記の記事で解説しました。
→糖尿病の合併症を解説。三大合併症は目、腎臓、神経の病気。
今回はそんな糖尿病の典型的な症状7つを紹介していきます。
糖尿病の自覚症状はこの7つ。当てはまるものが多い人は注意
1.健康診断等で高血糖を指摘された
2.口が渇く
3.排尿の回数、尿の量が増えた
4.尿から嫌な臭いがする
5.飲料の摂取量が増えた
6.食事の量を減らしていないのに痩せるようになった
6.視力が落ちた
7.手足のしびれを感じることがある
糖尿病でインスリンの分泌低下、インスリン抵抗性の増大に伴う高血糖状態にあるときに出る代表的な自覚症状として口渇(2.)、多尿(3.)、多飲(5.)、体重減少(6.)があります。
口渇、多飲、多尿の原因は血糖値が高いことです。
症状の発生メカニズムは以下の通りです。
通常よりも血液中の糖分の濃度が濃い
→体がそれを薄めようとするため水分を引き込む
→からだは増加した水分を尿として排泄しようとする
→多尿
→口渇、多飲の繰り返し
体重減少(6.)についてはインスリンが十分に効いていないことが原因と考えられます。
インスリンの働きは「筋肉などの細胞が栄養を吸収するのを助け、結果として血糖値を下げる」と考えてください。
言い換えると血液中の糖(栄養)を全身の筋肉などの細胞に取り込むために必要なホルモンです。
なので糖尿病の状態、インスリンの効きが悪い状態では筋肉などの細胞にうまく栄養を吸収できず、そのため食べても太らないのです。
「6.視力が落ちた」「7.手足のしびれを感じることがある」については糖尿病の三大合併症である網膜症と末梢神経障害が発症している可能性があるので注意が必要です。
糖尿病の合併症については下記の記事で解説しました。
→糖尿病の合併症を解説。三大合併症は目、腎臓、神経の病気。
今回あげた7つの症状はいずれも糖尿病以外であっても出る可能性はあります。
例えば「2.口が渇く」は花粉症の薬を飲んでいる時には出やすい症状です。
ですがここの項目が何個も当てはまるという場合はやはり糖尿病の疑いがありますので速やかに受診しましょう。
糖尿病は治療の開始が早い方が、血管の消耗を抑えられるので発見が早ければ早いほど良いです。
気になったら迷わず受診してみましょう。
放置は危険。発見は早いほどいい
ここまでで糖尿病の典型的な症状を紹介しました。
さて、ここでもう一度糖尿病はそもそもどういう病気か振り返ってみましょう。
糖尿病は長い期間血糖値が高い状態が続くことで血管を傷つけ、血管が傷つくことにより重篤な合併症を引き起こす病気でしたね。
三大合併症の1つである網膜症が進行すると失明する恐れもあります。
注目したいのが「血糖値の高い状態が続くことで血管を傷つける」という部分です。
糖尿病を早期に発見し、食事療法、運動療法、薬物療法などで血糖値をコントロールすることができれば、血管の消耗が抑えられます。早ければ早いほど血管の消耗を防げます。
これが早期発見の方が良いという理由です。
逆に高血糖を指摘された、自覚症状がある、という場合に放置することは危険です。放置すればするほど血管が消耗していってしますので、可能な限り速やかに受診することをおすすめします。
食事療法、運動療法、薬物療法については下記の記事で解説しました。
こちらも是非参考にしてみてください。
食事療法
→糖尿病の食事療法は7項目を意識しよう。ガイドラインを軸に解説
運動療法
→糖尿病予防には運動が効果的。運動療法の効果・やり方を詳しく解説
薬物療法
→糖尿病の治療薬、8種類+インスリン。薬剤師が全て解説
まとめ
最後まで読んでくださりありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
今回は糖尿病の自覚症状について説明しました。
繰り返しになりますが糖尿病の治療開始は早ければ早いほど良いです。
自覚症状がある場合には速やかに受診をするようにしましょう。