糖尿病の食事療法は7項目を意識しよう。ガイドラインを軸に解説

糖尿病
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※2型糖尿病に関する記事です。

糖尿病治療の基本であり、誰でも今日から取り組むことのできる食事療法

食事は体にエネルギーを取り込む行為。取り込むエネルギーの量、質を意識することで糖尿病の数値の改善を目指しましょう。

今回はこの食事療法について、端的に「実際にどうすればいいか」がわかるような記事にしました

この記事を制作するにあたり「日本糖尿病学会 編・著 糖尿病治療ガイド2020-2021 文光堂」を参考にしました。

※現在すでに治療中の方は主治医に指示を仰ぎ、ご自身の状況に合った食事療法を行ないましょう。

糖尿病の治療は食事療法運動療法薬物療法の3本立てです。運動療法と薬物療法については下記の記事をご覧ください。

運動療法
糖尿病予防には運動が効果的。運動療法の効果・やり方を詳しく解説

薬物療法
糖尿病の治療薬、8種類+インスリン。薬剤師が全て解説

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糖尿病の食事療法は7項目を意識しよう。ガイドラインを軸に解説

誰でも今日から取り組むことのできる食事療法。だけど何をどうしたら良いか分からない。

そういった方々に向けて、今回は難しい話は抜きにして、「実際にどうすればいいか?」がわかるような記事にしました。

食事は体にエネルギーを取り込む行為。

取り込むエネルギーの量、質を意識することで糖尿病の数値の改善を目指しましょう。

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2型糖尿病って?

2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を生じさせる遺伝因子に、過食(とくに高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症します。

症状は

1.膵臓(すいぞう)からのインスリン分泌の遅延・低下
2.インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性の増大)

であり、これにより血糖値の高い状態が続くことで血管を傷つけます

自覚症状に乏しい糖尿病ですが、自覚症状として出現する典型的な症状もあります。

自覚症状については下記記事で解説しました。
糖尿病かも?そんな時は7つの症状をチェック

前述のように糖尿病では血糖値の高い状態が続くことで血管を傷つけます。その結果として三大合併症の網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害という重篤な合併症を引き起こす病気です。

また、これ以外にも心臓の病気、歯周病、認知症のリスクも上がると考えられています。

糖尿病治療の目標は、合併症の発症や進行を阻止することです

そのために血糖、血圧、コレステロール値、体重などをコントロールする必要があります。

糖尿病の合併症については下記記事で解説しました。
糖尿病の合併症を解説。三大合併症は目、腎臓、神経の病気。

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食事療法って?

糖尿病の発症に深く関わっているインスリンは通常時にも分泌されていますが、食事でエネルギーを摂取した後には特に多く分泌されます。

インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)に負担をかけないために、過剰なエネルギー摂取を避けることが食事療法の最大の目的です。

言い換えるとインスリンが処理しきれないほどのエネルギー(ブドウ糖)を食事で体内に入れないようにするということです。

食事療法は7項目を意識しよう

それでは実際にどうすれば良いか。まずはわかりやすく具体的に「こうしよう」というのを言葉で示し、その後で食事で取り込むエネルギーの量・質に関しての目標の決め方について述べます。

<目標>
1.食事は腹八分目までにしよう
2.摂取する食品の種類をできるだけ多くしよう
3.動物性脂質は控えめにしよう
4.食物繊維を多く含む食品を積極的に食べよう
5.朝昼晩、規則正しく食べよう
6.ゆっくりよく噛んで食べよう
7.果物・お菓子(チョコとか)の間食を避けよう

調剤薬局の現場で患者さんとお話ししていると「こうしよう」ではなく「これはやめよう」の方が分かりやすいという方が多くいらっしゃるので上の7つを「これはやめよう」に言い換えてみます。

<目標>
1.満腹まで食べるのをやめよう
2.偏食をやめよう
3.動物性脂質を控えめにしよう
4.野菜を全く食べないのはダメ
5.毎日食事の時間がばらばらというのはやめよう
6.早食いをやめよう
7.果物・お菓子(チョコとか)の間食を避けよう

言葉が短くなったことにお気づきでしょうか。「これはやめよう」言い換えるだけで言葉がスッキリし、食事療法における重点課題が理解しやすくなりました。

わかりやすくまずは上記7つを意識してみましょう。

上記7つがきちんとできたら、今度はより具体的に摂取するエネルギーの量・質の目標を決めましょう。

量 <エネルギー摂取量の決め方>

ここでは1日あたりの目標とするエネルギー摂取量の決め方を紹介します。

エネルギー摂取量は下記の式から求められます。

エネルギー摂取量=目標体重 x エネルギー係数

目標体重

目標体重は年齢に応じて下記の式から算出します。

65歳未満 →[身長(m)2]x22 
65~74歳 →[身長(m)2]x22~25
75歳以上 →[身長(m)2]x22~25

目標体重と現体重があまりにもかけはなれている場合には柔軟に。肥満者の場合はまず3%の体重減少を目指しましょう。

75歳以上では医療スタッフに現体重に基づき総合的に諸数値を評価した上で適宜判断してもらいましょう

エネルギー係数

エネルギー係数は普段身体をどのくらい動かすかという指標で決めます。

大部分が座ったままの静的活動  25~30 kcal
座っての活動が中心だが通勤・家事、軽い運動を含む  30~35 kcal
力仕事、活発な運動習慣がある  35~ kcal

質 <栄養素の構成>

三大栄養素

次に栄養素の構成比率についてです。一般的には三大栄養素の目標比率は下記のように設定します。

炭水化物   40~60%
タンパク質  20%
脂質     ~25%(25%を超える場合には、飽和脂肪酸を減じるなど脂肪酸組成に配慮する)

炭水化物・・・ご飯、パン、じゃがいもなど
タンパク質・・・魚、肉、大豆、卵など
脂質・・・バター、マヨネーズ、油など

脂質は健康にとってよくないと思われがちですが、必要な栄養素です。
また、脂質の中にはいわゆる良い脂質もあります。
サバ、イワシなどに含まれるDHA・EPAや、アーモンドなどに含まれるオレイン酸がその例です。
これらは不飽和脂肪酸と言われ、例えばコレステロール値を下げる、心疾患のリスクを低下させるなどの効果があると言われています
タンパク質をお肉ではなく魚から摂取するというのも健康への一歩かもしれません。
脂質については構成比率が25%を超える場合、このようないわゆる良い脂肪酸の比率を高めることが望まれます。

さて、栄養素バランスについて「唐揚げ弁当」の場合を考えてみましょう。

<唐揚げ弁当>
炭水化物のメインはご飯
タンパク質のメインは唐揚げに使われている鶏肉
脂質のメインは唐揚げの調理時に使われた油

なんとなくイメージできるでしょうか。

ラーメンの場合はどうでしょう。

<ラーメン>
炭水化物のメインは
タンパク質のメインはチャーシューと、麺の一部(タンパク質が少ないのがわかりますね)
脂質のメインはスープとチャーシューなどの具材の調理に使った油

ラーメンでは少しタンパク質が足りず、脂質が多いかな?というのが何となくわかりますね。

ラーメンの場合冷奴やサラダチキンでタンパク質を足して栄養素バランスを整えた上で小盛りにするなどしてエネルギー摂取量を適正にする。といった対応が望ましいです。
また、野菜を足すことで下記食物繊維、スープを飲み切らないことで下記塩分のそれぞれの目標摂取量に近づける努力もするのが良いでしょう。

それではその他「塩分」「アルコール」「食物繊維」について以下に記します。

塩分摂取量目標

高血圧発症前 男性:~7.5g/日、女性~6.5g/日
高血圧合併の場合  ~6.0g/日

塩分については高血圧発症予防の観点からも重要です。

アルコール摂取量目標

25g/日程度まで

肝疾患や合併症など問題のある場合は禁酒としてください。

食物繊維

20g以上/日

食物繊維には食後の血糖値上昇を抑え、便通を改善する作用があります。

少し前に流行っていた「サキベジ」は食事の時にベジタブル「野菜」から先に食べることで血糖値上昇を抑えることを目的の1つとしたキャンペーンです。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございます。

いかがでしたでしょうか?

今回は2型糖尿病における食事療法の基本について説明しました。

食事療法は糖尿病治療の基本です。2型糖尿病では、基本である食事療法に長く取り組んでいくことで病気の進行を止めることが可能です。「治る」という言葉は筆者の考え方では糖尿病に対しては使いません。

糖尿病に治るという概念はあるのかについては下記記事で解説しました。
糖尿病は治る時代?結局治るのか。そもそも糖尿病の「治る」とは。

もちろん食事療法だけでなく、お医者さんから処方されたお薬は用法用量を守ってきちんと使用しましょう。

※現在すでに治療中の方は主治医に指示を仰ぎ、ご自身の状況に合った食事療法を行ないましょう。

今回紹介した食事療法についてより具体的な内容を下記記事で書きました。こちらも参考にしてください。
糖尿病の人が食べちゃダメなものはある?【糖尿病・食事療法】

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