発熱や鼻づまり、倦怠感で辛い風邪。
横になって一日休みたいけれどなかなかそうもいかないことも多いですよね。
そんな時強い味方なのが市販の総合風邪薬。
風邪の諸症状(発熱、頭痛、のどの痛み、咳、痰、鼻水・鼻づまり)に効果のある成分が配合されており、オールインワン、総合風邪薬1種類を飲めば諸症状への効果が期待できるという優れものです。
日頃から使っているお気に入りの総合風邪薬がある方もいらっしゃると思います。
今回の題材は風邪でピンチの時に頼りになる総合風邪薬を飲んだ時に感じることのある眠気やだるさについてです。
大事な仕事の日に風邪の症状をせっかく薬で抑えても眠気やだるさが出てしまっては困りますよね。
副作用として眠気・だるさが出ることのある成分、そして絶対に眠気が出ては困る日の薬の選び方など解説していきます。
※服用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が飲んでも大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく服用しましょう。
市販薬の総合風邪薬で眠くなる・だるくなるのはなぜ?原因の成分は?
総合風邪薬の使用につきものなのが眠気。飲んだ後の眠気、だるさ、ぼーとしてしまう感じはほとんどの人が経験したことがあるのではないでしょうか?
今回はこの眠気・だるさの原因について解説していきます。
今回の記事で眠気の原因成分を知っていただき、車に絶対に乗らないといけない日や資格試験の日など、眠気が出ては困る日の薬選びの際に参考にしていただければと思います。
総合風邪薬の概要
風邪は、おおまかにいうと急性上気道炎のことであり、ほとんどの場合はウイルスが原因とされています。
症状は発熱、倦怠感、のどの痛み、咳、鼻水・鼻づまり、痰などです。
これらの症状を感冒症状と呼び、したがって総合風邪薬のことを総合感冒薬と呼ぶこともあります。
それぞれの感冒症状には別で記事を用意しています。こちらも是非参考にしてみてください。
発熱・頭痛
→【発熱・頭痛】の症状がひどい時におすすめの総合風邪薬【市販薬】
鼻水・鼻づまり
→【鼻水・鼻づまり】の症状がひどい時におすすめの風邪薬【市販薬】
痰
→【痰】の症状がひどい風邪におすすめの市販総合風邪薬【市販薬】
のどの痛み
→【のど】の症状におすすめの総合風邪薬!症状別解説つき【市販薬】
総合風邪薬は上記諸症状に対して効果を発揮するものです。
1つの薬に何種類もの有効成分が配合されているため、1種類飲めば諸症状に効果があるというとても便利な薬です。
風邪になったらすぐ買うというのはもちろん、いざという時のために常備薬として風邪薬を持っておくというのも良いでしょう。
場合によっては症状が限定的なこともありますよね。
そんな時にも熱に特化、のどの痛みに特化など、各症状に特化した総合風邪薬もあります。
総合風邪薬を飲んだ時の眠気・だるさの正体
総合風邪薬を飲んだ後で感じる眠気・だるさは、鼻水・鼻づまりの症状に効果がある抗アレルギー剤によるものがほとんどです。
鼻水・鼻づまりに効く成分として市販の総合風邪薬に配合される抗アレルギー剤はほとんどの場合「抗ヒスタミン薬」と呼ばれる薬品群に分類されるもので、これが多くの場合眠気・だるさといった副作用発現の原因となります。
鼻水・鼻づまりに効く抗ヒスタミン薬って?
さて、ここからは抗ヒスタミン薬について説明していきます。
抗ヒスタミン薬の概要
抗ヒスタミン薬はアレルギー反応を抑えるお薬の1種であり、花粉症や鼻炎などの鼻症状、アトピーなどの皮膚疾患に対して使用されることのある薬です。
ヒスタミンには血管拡張、血管透過性亢進作用などがあり、ヒスタミン受容体にこのヒスタミンがくっつくことでこれらの効果を発現します。
鼻水やくしゃみ、かゆみなどはこのヒスタミンの効果により自覚症状として出てくると考えられています。
また、ヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす神経伝達物質であるため、蕁麻疹等皮膚科系疾患の発現にも関与しています。
今回紹介している抗ヒスタミン薬はヒスタミン受容体(ヒスタミンがくっつく場所)をブロックすることで抗アレルギー作用を発現します。
抗ヒスタミン薬の歴史は古く、発売された時期により「第一世代抗ヒスタミン薬」および「第二世代抗ヒスタミン薬」に分類されます。
例えば現在市販の総合風邪薬に配合されているd-クロルフェニラミンマレイン酸塩の医療用医薬品(商品名:ポララミン)としての販売開始は1959年のことです。
歴史のある第一世代抗ヒスタミン薬ですが、弱点が副作用でした。主な副作用は眠気や口の渇きです。
これを解決すべく開発されたのが第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれているもので、第一世代と比較して眠気がでやすい、口が渇くという弱点が改善され、さらに薬の作用時間の持続化にも成功しました。
薬が長く効けば1日の服用回数は少なくてすみます。
具体的にいうと第一世代では1日3回の服用が必要だったところ、第二世代では1日2回や1日1回の服用で同等の効果が得られるようになった、ということです。
服用回数が減るのは飲む側としては嬉しいですよね。
これは、お薬をお渡しする薬剤師としても嬉しいことです。薬の飲み忘れの確率が下がるからです。
薬の飲み忘れは多くの場合昼に起きます。1日2回はほとんどの場合朝晩、1日1回の場合は朝または晩であり昼に服用する必要がなくなるので、結果として飲み忘れが減ることが期待できます。
市販薬で使われている抗ヒスタミン薬
総合風邪薬をはじめとした市販薬で現在使用されている主な抗ヒスタミン薬を紹介します。
総合感冒薬に配合されていることの多い抗ヒスタミン薬
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(第一世代)
クロルフェニラミンマレイン酸塩(第一世代)
クレマスチンフマル酸塩(第一世代)
花粉症などのアレルギー性鼻炎薬として市販されている抗ヒスタミン薬
フェキソフェナジン塩酸塩(商品名:アレグラFX)(第二世代)
エピナスチン塩酸塩20mg(商品名:アレジオン20)(第二世代)
ロラタジン10mg(商品名:クラリチンEX)(第二世代)
セチリジン塩酸塩10mg(商品名:新コンタック鼻炎Z)(第二世代)
ベポタスチンベシル酸塩20mg(商品名:タリオンAR)(第二世代)
総合風邪薬に配合されているのは第一世代、花粉症などのアレルギー性鼻炎の薬として販売されている商品では第二世代抗ヒスタミン薬という現状です。
【眠くなりにくい】鼻水・鼻づまりに効く薬
さて、総合感冒薬で眠くなる理由について解説してきました。
ここからはせっかくなので眠くなりにくい鼻水・鼻づまりに効く市販薬を紹介していきます。
風邪の症状は薬で抑えたいけれど眠くなるのは困るという方には、総合風邪薬ではなく症状ごとにお薬を選ぶことをお勧めします。
漢方薬
眠くなるのは困る!という時には漢方という選択肢もあります。
漢方薬は内服薬でありながら西洋薬(一般の薬のことをこう呼ぶ)と比較して副作用が少ないことから根強い人気があり一定の支持を得ているといえます。
ずばり鼻水には小青竜湯がおすすめです。小青竜湯はいわゆる水っぱなに効果があり、花粉症に対しても処方されることがあるお薬です。
点鼻薬
車に絶対に乗らないといけない日や資格試験の日など、眠気が出ては困る日には「外用薬」というのも良い選択かもしれません。
点鼻薬は外用薬で、副作用が少なく効果を実感しやすいです。
最もおすすめなのはフルナーゼ点鼻薬です。
ステロイド成分の点鼻薬で、現在医療用でも同じ成分量のものが使われています。
市販薬の中では最強の点鼻薬と考えてください。
なお、こちらは現在要指導医薬品であり、薬剤師からでないと購入できません。
それ以外にもステロイド剤配合の点鼻薬はあります。例えばナザールαAR0.1%というお薬は、ステロイド配合ですが登録販売者からの購入が可能です。
なお、鼻水・鼻づまりへの高い効果が期待できる総合感冒薬については下記記事で紹介しました。
多少眠気が出ても大丈夫という方は下記記事も参考にしてみてください。
→【鼻水・鼻づまり】の症状がひどい時におすすめの風邪薬【市販薬】
状況により薬を選ぼう
最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
今回は総合風邪薬を服用した後の眠気・だるさがなぜ出るのかについて解説し、眠くならないハナの薬を紹介しました。
眠くなる原因はほとんどの場合抗ヒスタミン薬です。
なお、眠気には個人差があり、総合風邪薬を服用しても眠気を感じない人ももちろん多いです。
総合風邪薬を服用すると必ず眠気が出るというわけではないのでご了承ください。
また、なんといってもオールインワンの総合風邪薬はなんだかんだいっても便利ということも付け加えさせてください。
今回の記事を風邪をひいた際の薬選びの参考にしていただけると幸いです。
※服用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が飲んでも大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく服用しましょう。