アトピー性皮膚炎の新しい治療薬ミチーガが承認されたということで、この注目の新薬について調べてみました。
ミチーガの概要
ミチーガはアトピー性皮膚炎の新たな治療薬として承認されたお薬です。
生物学的製剤でアトピー性皮膚炎というとデュピクセントがすでに使用されていますが、それ以来のアトピーに適応を持つ生物学的製剤となります。はじめはシリンジ剤での販売のようです。
ミチーガの適応は「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分 な場合に限る)」であり、製造販売はマルホ株式会社です。
薬価は未定。
おや?と思った点としてミチーガには「室温保存」という特徴がありました。
ミチーガの有効成分はネモリズマブであり、これは中外製薬株式会社で創製されたものです。
生物学的製剤の中外といってもいいくらい中外が強い分野ですがここにも中外!!!
ヒト化抗ヒト IL-31RA モノクローナル抗体であり、IL-31と競合することでIL-31によるそう痒の発現を抑制する、という作用機序です。
デュピクセントとの違いは?
すでにアトピー性皮膚炎の選択肢の1つとなっているデュピクセント(成分:デュピルマブ)はヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体です。
図のように、インターロイキンはヘルパーT細胞の1つであるTh2から産生されるサイトカインです。産生されたインターロイキンが最終的なアトピー性皮膚炎の症状発現の原因となります。
デュピクセントはここでIL-4およびIL-13の受容体に共通のIL-4受容体アルファサブユニットに対して作用することでIL-4及びIL-13の働きを阻害します。
また、IL-4の存在がTh0(ナイーブT細胞)→Th2の分化が誘導されることも知られています。デュピクセントはここにも作用すると考えられます。
今回紹介しているミチーガはアトピーにおけるかゆみの主な原因であるIL-31の働きを阻害するものです。
違いはあるものの、非常に似た作用を持つ薬であるという印象を受けました。(生物学的製剤同士ですので当然ですが、、、)
まとめるとデュピクセントとミチーガの違いは ①ターゲットとするサイトカインが違う そして前述の通りミチーガは常温保存ですので ②保存方法が違う です。
広がるアトピー治療の選択肢
アトピー性皮膚炎治療の選択肢は近年広がってきています。
今回も紹介させていただいたアトピー性皮膚炎に適応をもつ生物学的製剤であるデュピクセントが2018年に登場したのが最も衝撃的な出来事でしたが、塗り薬や内服薬でも選択肢が広がってきています。
塗り薬についてはJAK阻害薬であるコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)が2020年に販売開始、そしてホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬であるモイゼルト軟膏(ジファミラスト)はすでに承認されておりまもなく販売というところです。
モイゼルト軟膏については下記記事で紹介しました。
→アトピー治療の新薬“モイゼルト軟膏”とは?【医療用医薬品】
内服薬ではJAK阻害薬であるオルミエント(バリシチニブ)が成人向けとして2020年に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」に対して適応追加がされました。
オルミエントは新型コロナウイルス感染症の重症例でレムデシビルと併用という形で適応追加となったことでも話題となりました。話題盛りだくさんの薬です。
また、2021年には同じくJAK阻害薬であるリンヴォック(ウパダシチニブ)が12歳以上の小児アトピー性皮膚炎に適応追加になり、12~15歳の患者の選択肢が増えました。
さらにこれまたJAK阻害薬ですが、2021年末にサイバインコ(アブロシチニブ)も使用できるようになりました。
このように近年アトピー性皮膚炎の薬物療法の選択肢が増えています。このような流れの中での今回のミチーガ承認、現在アトピー性皮膚炎治療薬はホットな領域であると言えそうですね。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回はアトピー性皮膚炎の新しい選択肢ミチーガについて解説しました。
今後も医療用医薬品の新薬情報を積極的に発信していきます!