選択的MR拮抗薬“ケレンディア錠”承認。気になる作用機序や効果は?

医療用医薬品
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今回は選択的MR拮抗薬であるケレンディア錠が承認されたということで、この注目の新薬について筆者の方で調べてみたうえで記事にしています。

正直私自身最初「選択的MR拮抗薬」と聞いた時なにも思いつきませんでした。

皆目見当もつかないとはこのことかといった具合でした。

ですが勉強することでなるほどな!と思えましたので、ぜひ読者の皆さんも最後まで読んでみてください。

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ケレンディア錠の概要

ケレンディア錠は非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬です。

MRと聞くとこの業界では企業の営業さんですよね。今回はミネラルコルチコイド受容体のことでした。

適応症は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)」です。

新しい薬という感じがしますね。

透析施行中の方、末期腎不全の患者以外にも、禁忌のケースがいくつかあり、特に重要そうなのが血清カリウム値が5.5mEq/Lを超えている場合です。高カリウム血症を増悪させるおそれがあるため禁忌となっています。

また、CYP3A4を強く阻害する薬剤との併用は禁忌とされており、イトラコナゾールはもちろん、クラリスロマイシンも併用禁忌です。クラリスロマイシン併用禁忌といえばベルソムラがおなじみですね。

調剤薬局においてケレンディアが処方された患者がクラリスロマイシンをはじめとした、ケレンディア併用禁忌薬を服用していないかは絶対にはずせない鑑査ポイントです。

用法は基本的に1日1回。

①eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20mg
②eGFRが60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始→血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4 週間後を目安に20mgへ増量する

という飲み方です。

また、その後も血清カリウム値及びeGFRを測定、数値に応じて容量の調節が必要です。冒頭でも書いた通り血清カリウム値が5.5mEq/Lを超える場合には服用中止の必要があります。

今回いろんな資料で勉強してみて、薬剤師的に最も重要かなと思ったことが2つあります。

1つはクラリスロマイシンと併用禁忌である点です。

そして2つめは、10mg錠と20mg錠の生物学的同等性が示されていないという点です。容量が20mg/日の場合には10mg錠2錠ではなく、必ず20mg1錠である必要があります。

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ケレンディア錠の作用機序・期待される効果は?

ケレンディア錠の適応症は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。)」ですが、2型糖尿病と慢性腎臓病は、ともに心血管及び腎イベントのリスク因子であり、両者を合併することでイベントのリスクはさらに増大することが知られています。

ケレンディアの作用機序はタイトル通り選択的にミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合することで、MRの過剰活性化を抑制する、というものです。

MRは全身に広く発現しており、腎臓の尿細管等の上皮組織、腎臓の糸球体、心臓にも発現しています。

また、MRの過剰活性化の一因として慢性的な高血糖状態や食塩過剰摂取等の病態があり、MRの過剰活性化によって電解質調節障害や組織における炎症及び線維化を引き起こされます。炎症及び繊維化は慢性腎臓病の進行要因と考えられています。

そんなわけでこのMRの過剰活性化を抑えることで組織における炎症や繊維化を防ぎ、結果として心血管及び腎イベントのリスクを下げる、ケレンディアにはそういう効果が期待されます。

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まとめ

といういわけで今回は全く新しい薬ケレンディア錠についてでした。

最後に私の抱いたイメージですが、私が学生の頃は「とにかく糖尿病は血糖コントロールが大切、そして三大合併症の進行は避けたい。」でした。

今回の新薬ケレンディアは「血糖コントロールが大切なのは変わりないけど、仮にコントロールできずに慢性腎臓病となった場合もイベントリスクを一定程度下げますよ」という薬であると私なりに解釈しました。

ですのでこれまでよりも一歩進んだ、イベント発生を防ぐためにもう1つ切れるカードが増えたというか、そういう印象を受けました。

以上今回はケレンディア錠についてでした。

ちょっと勉強がきつかった。。。

今後も新薬、自分自身の研鑽も兼ねて記事にしていきます!

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