薄毛・抜け毛の原因、対策、治療薬まで解説。発毛剤と育毛剤の違いも

市販薬
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現在国内で薄毛に悩まれている方は4000万人を超えるといわれています。

今回は多くの方が悩まれている薄毛や抜け毛の原因、対策等を解説していきます。

人間の髪の毛は、約10万本。想像もできない量ですが、この10万本の髪の状態は人それぞれ違います。

今回の記事を薄毛理解のきっかけにしていただけると幸いです。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

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髪の毛が抜けること自体は普通のこと

毎日の生活の中で「髪が抜ける」という現象自体は皆さん目にしているところだと思います。

薄毛や抜け毛が気になり始めると髪が抜けることが悪いことと考えがちですが、この「髪が抜ける」自体は正常なことであり、1日に50~100本程度は抜けると言われています。

通常の量の抜け毛はヘアサイクルと呼ばれる髪の毛のライフサイクルに沿って自然に抜けたものであり心配はいりませんし、これで薄毛になるということもありません。それぞれの毛のサイクルが異なるため、1日に50~100本程度抜け毛があっても薄毛になることはないのです。

それではどんな時に薄毛になるのでしょうか。細い毛が増えたり、抜け毛の量がこれまでと比較して明らかに多いと感じた場合などには注意が必要です。頭皮や髪にトラブルが発生しているかもしれません。

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ヘアサイクルとは

まずはヘアサイクルの解説です。

ヘアサイクルとは、髪が生え、成長し、抜け落ち、そして再び生えてくる一連のサイクルのことです。

髪には寿命があり、寿命を迎えた髪は抜け落ち、そして新しい毛が生えてくるのです。

一生で15~30回ほどのヘアサイクルを繰り返すといわれており、1サイクルがおよそ3~6年程度です。

ヘアサイクルの回数に上限があるということが、一般に加齢により髪の量が減る傾向にある理由の1つです。

ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」の3つのステージがあります。

成長期

成長期の期間は人により異なりますがおよそ3~6年です。

この期間に毛は誕生し、長く、そして太くなります

成長期の期間が長いほど髪の毛は太くなります。

長さについては定期的な散髪があるため実感しづらいですが、1年でおよそ15cm程度伸びます。まさに毛が成長する期間です。

成長期の最初期、毛根部という場所で、新しい髪の毛が誕生します。

そして、休止期の最終盤を迎えた古い髪の毛が、新しい毛に押し出され抜けていきます。

成長期は毛母細胞の活動(細胞分裂)が活発な時期であり、新しい髪の毛はそれによりどんどん成長します。

なお毛髪全体の85~90%が成長期の髪です。

退行期

退行期の期間はおよそ2週間です。成長期の次の段階です。

成長期で成長した毛が、休止期に移行する過程の時期です。

退行期には毛乳頭細胞が毛母細胞から離れます。

毛母細胞の活動には、毛乳頭細胞からのシグナルや栄養が必要です。

毛乳頭細胞が毛母細胞から離れることでこれらが弱まり、したがって髪が成長しづらくなります。

毛母細胞の活動は衰え、毛球が退縮する時期です

毛髪全体の1%がこの退行期の髪です。

休止期

休止期はヘアサイクルの最後の期間です。期間は3~4ヶ月です。

この時期には髪の成長が完全に止まります

そして毛根部では、新たな毛が生える準備を始めている時期でもあります。

最終的には新しい毛に押し出されるかたちで自然と毛が抜け落ちます。

毛髪全体の10%~20%が休止期の髪です。

このヘアサイクルの乱れが抜け毛の増加や薄毛の原因となります。

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ヘアサイクルが乱れることが薄毛の原因

ヘアサイクルが「乱れている」状態とは、ヘアサイクルにおける成長期の期間が短くなることです。成長期の期間が短くなると、髪の毛全体における成長期の髪の比率が少なくなったり、休止期の髪が多くなるといった状態になります。

ヘアサイクルが乱れている状態では髪の毛がしっかり育ちにくいため、目に見える変化として髪が細くなってきたり、薄毛が気になってきたりします。

ヘアサイクルが乱れる要因には下記のようなものがあります。

ストレス
生活習慣(食生活、睡眠不足、喫煙など)
頭皮環境の悪化
加齢
AGA

ストレス

仕事の疲れなど、日常生活でストレスを受けると、一般に血行不良の傾向になります。これはストレスを受けた際に交感神経優位の状態になるためです。自律神経のうち交感神経とは、興奮・緊張などする際に優位になるもの、一方副交感神経は寝る直前やリラックスしている際に優位になるものです。

交感神経が優位になった結果、血管が収縮し、血行が悪化します。

血行不良の状態では毛母細胞に栄養が十分に供給されず、毛母細胞の活動が低下するため、ヘアサイクルの乱れ、ひいては薄毛の原因となります

生活習慣の乱れ

食生活の乱れ、睡眠不足、喫煙などの生活習慣の乱れもヘアサイクルの乱れの原因となります。

睡眠不足では成長ホルモンの分泌が滞り、したがってヘアサイクルの乱れを招きす。成長ホルモンは正常なヘアサイクルの維持に必要なホルモンです。

喫煙による血管収縮、外食、コンビニ食が多いといった食生活の乱れにおいてはそれによる栄養不足がそれぞれヘアサイクルの乱れの原因となります

髪の生成に必要な栄養成分として、髪の主成分となるタンパク質、ビタミンなどが挙げられます。ビタミンの中でもビタミンB2やB6は、代謝促進に関わります。また、ビタミンEは血行促進に関わっています。

頭皮環境の悪化

頭皮の乾燥やその反対に油分が過剰分泌している状態は毛根部にとって良い環境とはいえません。この状態が続くとヘアサイクルの乱れにつながる可能性があります

例えばシャンプーをはじめとしたヘアケアにおいて刺激の強すぎるものは使っている場合には頭皮環境の悪化につながる可能性があります。

加齢

加齢による細胞自体の機能低下もヘアサイクルの乱れの原因となります。髪の毛の場合、毛母細胞の機能の低下ですね。

AGA(男性型脱毛症)

AGAとは、ジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンによって成長期が短くなることで起きる脱毛症のことです。

DHTテストステロン(いわゆる男性ホルモン)から作られます。

AGAを発症すると、成長期が通常2~6年であるところを半年~1年程度に大幅に短縮されてしまい、その結果毛は十分に育たず細くなり抜け毛が増えます。

またAGAによって成長期が短くなれば、ヘアサイクルの繰り返し間隔が短くなります。

ヘアサイクルの回数が一生のうちで15回~30回程度であるため、AGAでヘアサイクルの1サイクルが短期間で終わってしまうことは、最終的に毛が生えなくなるまでの期間が短縮されることを意味します

AGAは薬で治療が可能なものですので、ヘアサイクルを消耗する前に早めに対策することを推奨します。

AGAについては下記記事で詳しく解説しました。
AGA(男性型脱毛症)とは?男性の薄毛や脱毛の対策、治療について解説

またここでは詳しく書きませんが、近年では女性特有の薄毛についても議論されるようになってきました。男性と比較すると薄毛人口の少ない女性ですが、女性特有のホルモンバランスの乱れが薄毛の原因の1つとなります。
女性の薄毛については下記記事で解説しました。
FPHL(女性型脱毛症)とは?女性の薄毛や抜け毛の原因・対策、治療薬などを解説

ヘアサイクルの乱れを改善するためには?

ヘアサイクルの乱れを改善するためには、まずはその原因を特定することが大切です。といっても「これだ!」と1つに絞ることは難しいでしょう。

なので、上記の「ヘアサイクルが乱れる原因」の中で当てはまりそうなものを少しでもできる範囲で改善していくことをおすすめします。

例えばストレスを減らすことが社会的な立場等で難しい場合には、食生活を見直したり、十分な睡眠時間を確保するのが良いでしょう。

また、頭皮の血行促進を目的とした頭皮マッサージは最も簡単にできる薄毛対策の1つではないでしょうか。

そしてヘアサイクルを改善する方法の1つとしてお薬の使用があります。

ヘアサイクルを改善するお薬

育毛剤

ヘアサイクル改善を目的としたお薬で通常使われるものは大きく分けて3種類です。

医師からもらうAGA治療薬(内服薬)
市販の発毛剤
市販の育毛剤

医師からもらうAGA治療薬(内服薬)

医師から出してもらうAGA治療を目的とした内服薬にはデュタステリド、フィナステリドがあります。

私自身も皮膚科の門前薬局に勤務している際に何度もお渡ししたことのあるお薬です。

どちらも5α-還元酵素阻害薬ですが、フィナステリドは特に5α-還元酵素Ⅱ型を阻害するため5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬と呼ばれます。

5α-還元酵素とは体内で代謝に関与する物質です。この酵素の働きを阻止することで効果を発揮します。

5α-還元酵素のⅠ型ほぼ全身の皮脂腺に、Ⅱ型頭皮(前頭部、頭頂部)、脇、陰部などにそれぞれ存在しています。

AGAの病態から考えるとこれら内服薬は発毛剤や育毛剤というよりは、脱毛防止薬と言えそうです。(もちろんAGA治療薬という名前が正しいです)

服用に際しては医師及び薬剤師から効果、副作用等のお話をよく聞いた上で服用開始しましょう。

市販の発毛剤

発毛剤とは、新たに毛を生やす効果、いわゆる「発毛効果」のあるお薬で、薄毛、抜け毛の改善を目的としたものです。

薄毛や抜け毛が既に生じている箇所での発毛効果を期待して使用します。

市販の発毛剤の外用薬成分であるミノキシジルには発毛効果以外に育毛効果、抜け毛予防効果もあるとされており、ヘアサイクル全体の改善が期待できます

ヘアサイクルの改善、すなわちヘアサイクルにおける成長期の正常化が行なわれると、理論上細い髪の毛が太くなることも期待できます。

市販の育毛剤

育毛剤は、いま生えている髪の毛の質の維持・改善を目的としたもの、すなわち薄毛や抜け毛を予防するためのものです。

育毛剤には頭皮環境改善のための成分(抗炎症剤、皮脂抑制剤、血行促進剤など)が配合されています。

主として頭皮環境の改善により、今ある髪の毛の質の向上やヘアサイクル改善を目指します。

それにより将来起こるかもしれない薄毛や抜け毛を未然に防ぐためのものです。

おすすめの育毛剤・発毛剤については下記の記事で紹介しました。

発毛剤と育毛剤の違いは?どちらを選ぶべき?

前述のように発毛剤育毛剤は全く別物であります。

おさらいすると発毛剤は薄毛、抜け毛の改善を目的としたもの育毛剤は薄毛や抜け毛を予防するためのものです。

ここから考えるとどちらを使用するべきかの答えが見えてきます。

発毛剤は薄毛、抜け毛の改善を目的としているため、現在既に抜け毛が気になり、薄毛になっているという場合に使いましょう

一方育毛剤は、薄毛や抜け毛を予防することを目的としているため、「髪が細くなったかも」という場合等、将来の薄毛を予防したい場合に使うのが良いでしょう

ご自身の状況に合ったものを使用しましょう。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。

今回は薄毛や抜け毛の原因、対策、治療薬について解説しました。

薄毛対策のポイントはヘアサイクルを正常化すること、そしてヘアサイクルの回数に限りがあるため早めに対策を開始することです。

今回の記事を症状への理解を深めるきっかけにしていただけると幸いです。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

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