胃薬販売時の注意事項【登録販売者の接客勉強メモ4】

登録販売者
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今回は販売する場合の流れ、注意事項等を解説するシリーズの胃薬編です。

著者はドラッグストア勤務経験のある薬剤師であり「ここだけは押さえておきたい!」という部分を、接客に不安のある登録販売者のあなたにできる限りシンプルに伝えることができたら、と思っています。

今回は胃薬編です。

胃薬は風邪薬に次いでごちゃごちゃした分野です。成分がいくつも配合されている場合も多く、覚えるのは大変です。

しかし、胃薬の分野は実は成分ごとの作用機序が明確でありしっかり理解できれば接客がしやすい分野でもあります。今回の記事を接客レベルアップの材料にしていただけますと幸いです。

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胃薬販売時に聞き取る必要のあること

まずは薬を選ぶ前段階です。

胃薬を販売する場合も他の薬を販売する際に聞きとりたいこと2項目を聞き取る必要があります。

・患者背景
・症状

それでは個別に解説していきます。

患者背景

ここでいう患者背景というのは具体的に次の様なものです。

・年齢
・現在服用している薬
・副作用歴
・持病、既往歴
・妊娠/授乳の有無

1つずつみていきましょう。

年齢

年齢は絶対に聞きましょう。胃薬の中には年齢ごとに服用量が細かく決まっている商品や、15歳未満は服用しないことと定められている商品があります。

お店に薬を買いに来た人が服用するとは限りませんので、服用する方の年齢を必ず確認しましょう。

現在服用している薬

これは重複、あるいは一緒に飲んではいけない薬を飲んでいないかなどについて確認するために聞きます。

現在市販されている胃薬の多くは医療用医薬品としても使用されている成分を含んでいます。

医師からの処方についてですが、胃そのものの不調で胃薬が出る場合もあれば、痛み止めなどの副作用予防で胃薬がセットで処方される場合も少なくありません。

こうした事情がありますので、特に病院にかかることの多い高齢者においては市販薬の胃薬が処方薬と重複することがあります。現在服用している薬は必ずチェックしましょう。

副作用歴、持病、既往歴、妊娠/授乳の有無

これらは患者が「この薬を飲んではいけない人」に該当していないことを確認するために聞きます。

例えば痛み止めのイブプロフェンを服用して副作用が出た経験のある人にイブプロフェン配合の市販薬を販売するのは適切ではないですよね。

また、妊娠/授乳中に服用を避けるべき薬を授乳婦に販売するべきではありません。

当たり前のことと馬鹿にされそうですが、こうした当たり前のことを積み上げることで適切なお薬を選択することができます。

症状

次に症状についてです。

「胃の症状」は日常的に様々な言葉で表現されます。例えば胃もたれ胸焼け胃痛などですね。これらの言葉は症状を言葉にしたものですので、当然ですが胃薬選びで重要な症状の原因については表現していません。
ですので胃薬販売時は上記のような「症状」と、考えられる「原因」を必ず聞くようにしましょう。

例えば以下のような会話で聞いてみましょう。

お客様「胃薬欲しいんですけど」

登録販売者「症状はどういった感じですか?」

お客様「胃もたれですね」

登録販売者「胃もたれですね、何か思い当たることありますか?食べ過ぎとか、ストレスとか。。。」

お客様「最近暴飲暴食気味で、多分それが原因だと思います」

食べ過ぎが原因と分かればあとは適切なお薬を紹介するだけです。例えば上の会話の例だと食べ過ぎの胃もたれの場合は食べ過たものが消化しきれていない暴飲暴食が原因で胃酸の量が増えている消化不良で胃の粘膜が荒れているといった状況が考えられます。

ですのでこの場合は

食べ過たものが消化しきれていない→消化を助ける消化酵素
胃酸の量が増えている→胃酸を抑える胃酸分泌抑制薬、胃酸を中和する制酸剤
胃の粘膜が荒れている→胃の粘膜を保護・修復する薬

といった3種類が特に充実している総合胃薬をおすすめすると良いでしょう。

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あとは最適な薬を紹介!とその前に、市販の胃薬8種類を紹介

市販の胃薬はかなり大雑把に分類すると図のように8種類になります。これは胃薬を紹介する上で必須の知識になりますので記憶するまで何度も繰り返し見て覚えましょう。

・胃酸の分泌を抑える「胃酸分泌抑制薬」
・胃の粘膜を保護する「胃粘膜保護薬」
・胃の筋肉のけいれんを和らげる「鎮痙剤」
・胃の痛み止め「オキセサゼイン」
・胃酸を中和する「制酸剤」
・消化不良に効果的な「消化酵素剤」
・昔から使われている「漢方薬」
・胃腸の働きを調節する「トリメブチン」

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聞き取った症状に最適な薬を選ぶ

必要事項と症状が聞けたらおすすめの商品を紹介しましょう。

ここではかなり大雑把に「こういう時はこの薬!」といういわゆるコツを紹介します。

胃の症状が出やすい場面というのは大きく分けて2つ、食べ過ぎパターンストレスパターンですね。胃がストレスに弱いというのはあなたも実感のあるところだと思います。かなりストレスの影響を受けやすい臓器です。また、摂取した食べ物がすぐに到達する場所(臓器)ですから食べた量に影響を受けるというのも容易に想像できますね。

食べ過ぎ飲み過ぎによる症状の時

食べ過ぎにより胃の諸症状が出ている場合には、下記のような胃の状態が推測されます。

・食べ過たものが消化しきれていない
・暴飲暴食が原因で胃酸の量が増えている
・消化不良で胃の粘膜が荒れている

もっと一言で言うと「胃は正常に働いているけどキャパオーバーで胃の調子が悪くなっている」と言えます。もちろんこの状態が続けばその後に胃の働きが弱ることも考えられますが、それは二次的な話、あくまで食べ過ぎによる症状は胃のキャパオーバーによるものです。

ここから考えると選択する薬は「胃の働き自体に作用するタイプ」ではなく「一時的に胃でおこっている症状を改善するタイプ」の方が良いでしょう。

胃の働き自体に作用するタイプの薬とは、胃酸分泌抑制薬胃腸の働きを調節する「トリメブチン」などです。

一時的に胃でおこっている症状を改善するタイプの薬とは、胃粘膜保護薬制酸剤などです。

ちなみに消化酵素剤はこの2つの中間といえるでしょう。

食べ過ぎによる症状の場合には基本的に次のようなお薬が効果的と考えられます。

・食べ過たものが消化しきれていない→消化酵素剤
・暴飲暴食が原因で胃酸の量が増えている→制酸剤
・消化不良で胃の粘膜が荒れている→胃粘膜保護薬

これら3種類が配合されている総合胃薬がおすすめです。例えばスクラート胃腸薬Sなどですね。

ちなみにですが慢性的な暴飲暴食であれば、胃酸過多となっている可能性があるため胃酸分泌抑制薬が効果的、適切である場合もありますので個々のお客様のお話をきちんと聞いてお薬を選んであげましょう。ただし食べ過ぎによる症状の多くの場合においては上で解説した3種類の成分が配合されているものが効果的でしょう。

スクラート胃腸薬Sの成分

スクラート胃腸薬Sの成分は下記の通りです。

・胃粘膜保護薬(スクラルファート水和物)
・7つの健胃生薬(ウイキョウ、ウコン、ケイヒ、ゲンチアナ、サンショウ、ショウキョウ、チョウジ)
・制酸成分(炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト)
・消化酵素(ビオヂアスターゼ2000、リパーゼAP12)

非常に成分バランスの良い商品で、私もドラッグストア勤務時代なんどもおすすめした商品です。メインの成分であるスクラルファート胃粘膜保護作用に加えて粘膜修復作用も持ちます。

緊張やストレス、その他原因不明の症状の時

緊張やストレスによる症状の場合の多くでは胃の働きが正常でないために症状が出ていると考えられます。具体的には下記のような状態が考えられます。

・ストレス→胃酸過多→胃の粘膜が損傷→粘膜損傷による胃痛をはじめとした諸症状の発現
・ストレス→胃の働き(消化機能)が低下→消化不良による諸症状の発現

ここから考えると「胃の働き自体に作用するタイプ」と「一時的に胃でおこっている症状を改善するタイプ」の両方が必要そうですが、より優先するのは胃の働き自体に作用するタイプと考えられます。

例えば胃酸過多について考えてみましょう。

胃酸過多に対しては「胃の働き自体に作用するタイプ」である胃酸分泌抑制薬と「一時的に胃でおこっている症状を改善するタイプ」である制酸剤が効果的であると考えられます。

このうち胃酸の出過ぎという根本を改善するのは胃酸分泌抑制薬です。制酸剤はすでに出た胃酸に対して作用するものであるため根本的な改善にはなりづらいと推察できますね。蛇口の水を止めない限りいくら出た水をはけてもらちがあかないのと同じです。

市販の胃酸分泌抑制薬と言えばガスター10の商品群です。これは第1類医薬品であり登録販売者は販売することができませんが、胃酸を抑えるということにおいてはかなり効果が期待できるものです。ですので胃酸分泌抑制薬を服用した方がいい!という場合、かつ働いている店舗に薬剤師がいる場合には迷わず薬剤師にガスター10を販売してもらうのが良いでしょう。第2類医薬品等にも胃酸分泌抑制をうたう商品はありますが、ガスターが最強です。

また、「一時的に胃でおこっている症状を改善するタイプ」の薬がストレスによる諸症状に全く意味がないということではありません。例えば胃粘膜保護薬が胃酸過多により荒れた胃粘膜を保護するのに効果的であるのは言うまでもありません。

次に、原因不明の胃痛や胃痙攣についてですが、それぞれ胃の痛み止めであるオキセサゼインや鎮痙剤であるブスコパンが効果的でしょう。

それぞれ商品名は

オキセサゼイン→サクロンQ
鎮痙剤→ブスコパンA

です。

おまけ。胃薬販売にあたって覚えておきたい成分名

ここでは胃薬を販売するにあたり覚えておきたい成分名を紹介します。

ほとんどが記事中で出てきたものです。

ファモチジン(=ガスター、胃酸分泌抑制薬)
スクラルファート(胃粘膜保護薬。粘膜修復作用ももつ)
テプレノン(胃粘膜保護薬)
オキセサゼイン(=サクロンQ、胃の痛み止め)
ブチルスコポラミン臭化物(=ブスコパンA、鎮痙剤)
トリメブチン(胃腸の働きを調節する薬)

まとめ

胃薬について理解が深まったでしょうか。

胃薬は一見難しい分野に思われがちですが、販売経験を積めば必ず理解が深まります。また、接客をこなしていくうちにある程度症状がパターン化していることに気づき、おすすめする商品も決まってきます。

理解しきってしまえば悩むことが少ない分野であることも事実です。是非マスターしましょう。

もちろん症状が続く方への受診勧奨もお忘れなく!

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