【原因別】イライラにおすすめの市販の漢方薬3選【半夏厚朴湯など】

市販薬
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最近なんだかイライラする、細かいことが気になって仕方ないなど精神的に不安定なことってありますよね。

継続的な精神的ストレス、長時間労働などによる肉体的ストレスなどによってそのような状態になることがあります。その他ホルモンバランスの変化でもイライラするということがあります。

今回は何だか最近どうしようもなくイライラするといった場合におすすめの漢方薬を紹介します。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

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漢方の概要

※漢方薬と漢方
漢方薬は、漢方医学の理論に基づいて処方される薬のことです。生薬(しょうやく)と呼ばれる植物や動物、鉱物などを2種類以上組み合わされて作られたもので、特に植物の根や樹皮、果実などが生薬として頻繁に用いられます。
一方漢方とは漢方薬を用いた治療だけでなく、鍼灸、薬膳、整体などを含めた医学を意味します。

漢方は奈良時代に伝来した古代中国医学を基本とするもので、その後日本で独自に発展・実践されてきた医学です。

そもそも「漢方」は、西洋医学を「蘭方」と名付けたのに対して、日本で名付けられた呼び名です。

漢方の基本は “病気ではなく病人をみる” という考え方にあります。

漢方医学と西洋医学の違い

漢方医学(東洋医学)と西洋医学の違いは何でしょうか。

それは病気の捉え方です。

捉え方が異なるため治療のアプローチも異なります。

例として「足が痛い」という人について考えてみましょう。

西洋医学では「足の痛み」に対して痛み止めが処方されるでしょう。
これは、「痛み」という症状にフォーカスしているためです。

一方漢方医学においては「痛みの原因は何か」という観点で「痛み」という病気・症状だけでなく、痛みが出ている原因、身体(心も含む)全体で何が起きているかといったことにアプローチして、治療法を提案してきます。
例えば身体のゆがみが原因で足の痛みが出ているのであればゆがみを治す、といったようにです。

ここから西洋医学では「病気」自体を、漢方医学では「病気になっている人」を評価、診断すると言えます。

このように「病気」の捉え方に違いがあります

どちらが優れているということではないですが、上記のように考え方は両者で異なります。

一方で「薬」については漢方薬と西洋薬で少し似たところがあります。

基本的には漢方薬は生薬から成るもの、西洋薬は化学的に合成した成分です。

西洋薬について、初めて化学的に合成された成分は「アセチルサリチル酸」であり、「アスピリン」という名前で広く知られています。すでに100年以上の長い歴史を持つ薬です。

このアセチルサリチル酸の元となった物質はサリチル酸で、19世紀にヤナギの木から分離されました

世界で初めて人工合成により作られた医薬品であるアスピリン(アセチルサリチル酸)も、元々はヤナギから分離された自然由来の「サリチル酸」がきっかけとなっています。

漢方薬も西洋薬も元を辿れば自然という共通項があるのです。

そう考えると一見して相反している漢方薬と西洋薬は、広い意味では同じ「薬」と言えるのではないでしょうか。

漢方医学における診断、漢方の概要等は下記の記事で詳しく解説しました。

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まずはイライラの原因について考える

イライラする時は何か精神的な不調をきたす原因が日常の中にあるかもしれません。薬の服用を検討する前にまずは原因があるか、その原因は避けることができるものなのか、ということについて一度考えてみることを推奨します。

人間関係等からうける精神的ストレスはもちろん、例えば仕事での肉体的なストレスが継続することで精神状態に悪影響を及ぼすこともあります。ホルモンバランスの変化によってイライラすることもあるでしょう。

また、引っ越し、転職など環境の変化がストレスにつながっている可能性もあります。

考えられるイライラの原因は上記のように改善が難しいものが多いと思います。

しかしたとえばスマホの見過ぎによる肩こり、ニュースやSNSの見過ぎによる情報過多、こうしたことがイライラの原因になっていることはないでしょうか?

もしもこうしたことが原因であるならばこれは能動的に避けることができる内容です。

避けることができるストレスの原因を見つけることが出来たら、それをまずは避けてみましょう。

それでもイライラが改善しない場合、以下で紹介する市販の漢方薬を服用してみてください。

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イライラする時におすすめの漢方薬はこれ

ここからイライラにおすすめの漢方薬を紹介していきます。

不安からくるイライラには半夏厚朴湯

イライラにおすすめの漢方薬としてまずはじめに紹介したいのは半夏厚朴湯です。

構成生薬についてみていくと、鎮静の意味合いが強い漢方薬であることがわかります。不安からくるイライラに対しておすすめできる漢方薬です。また、半夏厚朴湯は「のどのつかえ」に対して効果があるとされており、のどのつかえには頻繁に処方されることがあります。

半夏厚朴湯の構成生薬
ハンゲ、ブクリョウ、コウボク、ソヨウ、ショウキョウ

個々の構成生薬については下記の通りです。

ハンゲ(半夏)・・・吐き気止め、去痰、鎮静などのはたらきがあります。不眠などの精神症状に用いられます。

ブクリョウ(茯苓)・・・利尿、消化機能亢進、鎮静、の効果があり、食欲不振、消化不良、動悸、不眠などに用いられます。

コウボク(厚朴)・・・整腸、健胃、去痰、などの作用があります。腹部の張り、消化不良、咳などに用いられています。

ソヨウ(蘇葉)・・・シソ科のシソまたはチリメンジソの葉および枝先を乾燥させたものです。風邪、咳、心身症などに用いられます。

ショウキョウ(生姜)・・・ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたものです。薬味のショウガです。発汗、健胃などの効能があり、矯味、食欲増進薬として用いられます。また、新陳代謝を促進するものです。

ヒステリー、怒りからくるイライラには抑肝散加陳皮半夏

イライラにおすすめの漢方薬2つ目は抑肝散加陳皮半夏です。

漢方には五臓(肝・心・脾・肺・腎)という考え方があります。5つの要素はお互いの性質を助け合ったり、打ち消し合ったりすることで、あらゆるものがバランスを保っているという考え方です。

この中の「肝」とは血液を貯蔵したり、精神活動や自律神経系の調整などに関わるとされています。この「肝」が高ぶる状態では、精神が高ぶり、怒りやイライラの症状がでます。

抑肝散加陳皮半夏は「抑肝」とあるように「肝」のたかぶりを抑えることでイライラを改善することを目指す漢方薬です。

イライラの中でも、ヒステリーで怒りっぽい、そういう状態の場合に試してみたいお薬です。半夏厚朴湯が不安からくるイライラに対しておすすめであるのと対照的ですね。

また、構成生薬をみてわかる通り婦人科系で用いられる生薬が配合されており、更年期障害にも適応があります。

以上のことから更年期障害によるヒステリーからくるイライラに特におすすめの漢方薬と言えるでしょう。

なお、更年期障害におすすめの漢方薬については別の記事で解説しています。下記記事では婦人科三大漢方薬とも呼ばれる3つの漢方薬を紹介しました。
更年期障害におすすめの市販の漢方薬【加味逍遙散、桂枝茯苓丸など】

抑肝散加陳皮半夏の構成生薬
トウキ、センキュウ、チンピ、チョウトウコウ、ソウジュツ、ブクリョウ、ハンゲ、サイコ、カンゾウ

構成生薬1つ1つについては下記の通りです。

トウキ(当帰)・・・婦人科系疾患で頻用されます。月経不順等婦人科疾患で使用される当帰芍薬散、加味逍遙散にも配合されています。

センキュウ(川芎)・・・セリ科のセンキュウの根茎を乾燥させたものです。活血、止痛などの効能があり、婦人薬、冷えに対しての処方などによくみられます。血行をよくし、身体のバランスを整えます。貧血、月経不順、月経痛、冷え性などに用いられています。

チンピ(陳皮)・・・ミカン科のウンシュウミカン、マンダリンオレンジなどの成熟した果皮を乾燥させものです。健胃、去痰、吐き気止めなどの効能があります。芳香性健胃薬として消化不良、食欲不振などの胃の不調を取り除くのに用いられています。

チョウトウコウ(釣藤鈎)・・・興奮、痙攣、不眠などに用いられます。また、小児のひきつけや高血圧による頭痛などの諸症状に使用されることがあります。

ソウジュツ(蒼朮)・・・健胃、整腸、利尿の効能があります。水分の代謝異常や消化器系の不調などに用いられています。類似の生薬にビャクジュツ(白朮)があります。

ブクリョウ(茯苓)・・・利尿、消化機能亢進、鎮静、の効果があり、食欲不振、消化不良、動悸、不眠などに用いられます。

ハンゲ(半夏)・・・吐き気止め、去痰、鎮静などのはたらきがあります。のどのつかえの症状によく使われる半夏厚朴湯にも配合されています。また、鎮静作用があるため不眠などの精神症状にも用いられます。

サイコ(柴胡)・・・解熱鎮痛、消炎薬。鎮静作用もあります。滋養強壮薬、精神神経用薬に配合されていることが多いです。

カンゾウ(甘草)・・・極めて甘い。甘い草で甘草です。含有するグリチルリチン酸という有効成分は抗炎症剤として用いられます。ステロイドホルモンの一種に分類され、優れた抗炎症・鎮痛作用を示します。風邪薬にも使われ、有名な葛根湯にも配合されています。

ストレスや心身の疲労からくるイライラには桂枝加竜骨牡蠣湯

イライラにおすすめの漢方薬3つめは桂枝加竜骨牡蠣湯です。

桂枝加竜骨牡蠣湯の適応は「体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症」です。

イライラの中でも特にストレスや心身の疲労からくるイライラにおすすめといえます。

桂枝加竜骨牡蠣湯の構成生薬
ケイヒ、シャクヤク、タイソウ、リュウコツ、ボレイ、カンゾウ、ショウキョウ

構成生薬1つ1つについては下記の通りです。

ケイヒ(桂皮)・・・鎮痙、鎮静、発汗、解熱作用、血圧下降。末梢血管拡張、心収縮力増強などがあります。また、シナモンの匂いがすることから、芳香性健胃薬に使われることがしばしばあります。有名な太田胃散にも配合されています。

シャクヤク(芍薬)・・・抗けいれん・血管拡張などの効果があり、血行不良を原因とした痛みや凝り、痙攣に用いられます。月経不順等婦人科疾患に頻用される当帰芍薬散は比較的有名ですね。名前にも「芍薬」とありますが、当帰芍薬散にはシャクヤクが配合されています。

タイソウ(大棗)・・・漢字で書くと大棗(タイソウ)=大きな棗(なつめ)であり、なつめの果実を乾燥させたものです。強壮、鎮痛、筋肉の緊張による疼痛、腰痛などに用いられます。また、他のお薬の効果を調和させる効果があり、多くの漢方薬に配合されています。

リュウコツ(竜骨・・・大型哺乳動物の化石化した骨で、神経症、不眠などに用いられます。

ボレイ(牡蛎)・・・イタボガキ科のカキの貝殻です。精神による症状(不安、動悸、不眠など)に用いられます。精神的不調による不眠や動悸などの諸症状に柴胡加竜骨牡蛎湯という漢方薬が使われることがあります。今回の桂枝加竜骨牡蠣湯と名前も似ています。この柴胡加竜骨牡蛎湯にも名前にもある通り、ボレイが配合されています。

カンゾウ(甘草)・・・極めて甘い。甘い草で甘草です。含有するグリチルリチン酸という有効成分は抗炎症剤として用いられます。ステロイドホルモンの一種に分類され、優れた抗炎症・鎮痛作用を示します。風邪薬にも使われ、有名な葛根湯にも配合されています。

ショウキョウ(生姜)・・・ショウガ科のショウガの根茎を乾燥させたものです。薬味のショウガです。発汗、健胃などの効能があり、矯味、食欲増進薬として用いられます。また、新陳代謝を促進するものです。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。

一言に「イライラ」と言っても原因や症状は人それぞれ。今回紹介した漢方がご自身の症状に効果が期待できそうである場合には試してみてください。

今回紹介した3つの漢方薬をイライラの原因ごとに選べるよう大雑把にいうと

不安感からくるイライラ→半夏厚朴湯
ヒステリー、怒りからくるイライラ→抑肝散加陳皮半夏
ストレスや心身の疲労からくるイライラ→桂枝加竜骨牡蠣湯

です。

是非薬選びの参考にしてみてください。

以上、今回はイライラにおすすめの漢方薬を紹介しました。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

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