処方薬の胃薬の種類や強さを知ることで市販薬の位置付けを知ろう

市販薬
スポンサーリンク

「市販薬の胃薬で症状が改善しない場合には速やかに受診してください」

こんな風にドラッグストアで言われたことはないでしょうか。

これはわかりやすくいうと「処方薬の胃薬でないと対応できない症状である場合には受診が必要ですよ」という意味合いです。

受診勧奨はドラッグストアで医薬品を販売する際の大切な業務の1つですし、私自身もこのブログ内でほぼほぼ毎回記事ごとに受診勧奨の言葉を添えるよう心がけています。それがドラッグストアで市販薬を購入するお客様、ブログを読んでくださる方の健康につながるからです。

市販薬は受診しなくても改善できる症状であれば、市販薬を飲んで改善しよう、というものです。

時として受診して処方薬を使用するべき状況の時というのがやっぱりあります。

今回は処方薬として出される胃薬の種類や強さを紹介します。

処方薬の胃薬の強さを知ることで、市販薬の位置付けや、どういう場合に受診すべきかを知ることができます。

また処方薬について知ることで、受診後の薬物治療で期待できる成果もあらかじめ予測することができます。

スポンサーリンク

処方薬の胃薬の強さ、種類などの概要

処方薬の胃薬には攻撃因子抑制薬防御因子増強薬消化管運動機能改善薬などの種類があります。さらにピロリ菌除菌用のお薬もあります。

攻撃因子抑制薬

ここでいう「攻撃因子」とは胃酸のことです

したがって攻撃因子抑制薬には胃酸分泌抑制薬やすでに胃に分泌されている胃酸を中和する制酸剤が該当します。

胃酸のpHは1.0~1.5の強酸性ということはご存知でしょうか?嘔吐した際に酸っぱく感じるのはこのためです。

水がpH7.0くらい
炭酸水でpH4.5~5.0くらい
料理で使うお酢pH~3.0くらい
コーラpH2.2くらい

胃酸がいかに強酸性かわかりますね。

炭酸が胃によくないという話は聞いたことがあると思います。

それよりもさらに強い強酸性の胃酸が必要以上に分泌されると胃にとってよくない、と考えられますね。

このように胃酸は食べ物の消化に際して必要ですが、過剰に出ると「胃の粘膜を攻撃する因子」となります。

処方薬(医療用医薬品)の胃酸分泌抑制薬でよく使われるのは

・プロトンポンプインヒビター(PPI)
・H2受容体遮断薬(H2ブロッカー)

です。

プロトンポンプインヒビター(PPI)

PPIは、胃酸分泌の最終段階を特異的に阻害するお薬で、H2受容体遮断薬よりも強力な胃酸分泌抑制効果を示します。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などに対して処方されます。

代表的なPPI
・ボノプラザン(商品名:タケキャブ)
・エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)
・ランソプラゾール(商品名:タケプロン)

H2受容体遮断薬(H2ブロッカー)

H2ブロッカーはPPIよりも以前からある胃酸分泌抑制薬で、胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体をブロックスすることで効果を示します。

H2ブロッカーはPPI販売開始後の現在も潰瘍治療等で広く使用されています。

代表的なH2ブロッカー
・ファモチジン(商品名:ガスター)
・ラニチジン(商品名:ザンタック)

制酸剤各種アルムニウム製剤、カルシウム製剤が使われます。

防御因子増強薬

防御因子増強薬は、わかりやすくいうと胃粘膜を保護する薬、すなわち胃粘膜保護薬のことです。胃粘膜保護薬は作用機序が不明な場合も多いです。

頻繁に使用される防御因子増強薬として以下のようなものがあります。

代表的な防御因子増強薬
・テプレノン(商品名:セルベックス)
・レバミピド(商品名:ムコスタ)

防御因子増強薬の中でもレバミピド(ムコスタ)は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

レバミピドは頻繁に使用される痛み止めのロキソニンとセットで処方されることが多いです。

普段お薬を飲まない方でも歯医者や整形外科などで、抜歯あるいは腰痛・関節痛等で受診した際に処方されることがあります。服用経験のある方も大勢いらっしゃることと思います。

レバミピドは胃粘液増加、胃粘膜血流増加作用などにより胃粘膜保護効果を発現すると言われています。また、胃粘膜修復の作用もあるとされています。

消化管運動機能改善薬

消化管運動機能改善薬とはその名の通り消化管(胃腸)の運動機能を改善するお薬です。

よく使われるお薬として以下のようなものがあります。

代表的な消化管運動機能改善薬
・メトクロプラミド(商品名:プリンペラン)
・ドンペリドン(商品名:ナウゼリン)
・モサプリド(商品名:ガスモチン)
・アコチアミド(商品名:アコファイド)

この中で、アコファイドは唯一の「機能性ディスペプシア」治療薬です

機能性ディスペプシアとは

「ディスペプシア」は、胃痛、胃もたれなどの不快な腹部の症状を指します。

また、ディスペプシアがあり胃カメラ等で検査をしても胃潰瘍などのはっきりと見てわかる病気が見つからない場合があります。この場合に「機能性」のディスペプシアと診断されます。

まとめると「検査をしても胃潰瘍などの目でみてわかる疾患はないが慢性的なディスペプシアがある」こういった場合に「機能性ディスペプシア」と診断されます。

ここから「胃カメラ内視鏡等の検査なしに機能性ディスペプシアの診断はできない」ということが言えます。

胃の働き(機能)がわるくなったことが症状の原因ではないか、との考えから「機能性ディスペプシア」という病名が生まれたそうです。

その他の胃薬

その他処方薬の胃薬には漢方薬消化酵素などがあります。

代表的なその他の胃薬
・KM散(漢方薬)
・ベリチーム(消化酵素)
・エクセラーゼ(消化酵素)

ピロリ菌除菌

ピロリ菌の除菌には攻撃因子抑制薬であるPPIと抗生物質2種類を服用します。

内服の抗生剤とPPIは共に市販されていませんので、ピロリ菌の除菌には医師による処方が必要です。

スポンサーリンク

市販薬の胃薬はどのくらい強い?

ここまで処方薬の胃薬についてみてきました。

では「市販薬の胃薬はどのくらい強いのか」「市販薬は処方薬とは比べ物にならないくらい弱いのか」ということについて解説してきます。

先に申し上げますが、現在市販薬の胃薬にはかなりしっかりした成分が配合されています。

胃酸分泌抑制薬、制酸剤

市販薬で胃酸分泌抑制薬といえばガスター10ですよね。

ガスター10の胃酸分泌抑制効果は市販薬の中で最強です。これはH2ブロッカーであり、先ほど説明した処方薬のPPIよりも弱い胃酸分泌薬となります。

胃酸分泌抑制薬については市販薬と処方薬にかなり差があり、市販薬でできることは限られます。

しかし、急なストレスによる胃酸過多からくる胃痛などにとっては市販のガスター10は強い味方です。胃酸が多いなという場合に市販薬を購入するならガスター10と覚えておきましょう。

胃痛については下記記事で解説しました。
胃痛時におすすめの胃薬市販薬を痛みの原因別に紹介【胃薬・胃痛】

制酸剤については市販薬と処方薬の差はないでしょう。総合胃薬に配合されていることが多く、有名な漢方の胃薬太田胃散にも配合されています。

胃粘膜保護薬

市販薬で胃粘膜保護薬を配合する商品として新セルベール整胃プレミアムスクラート胃腸薬Sなどがあります。

スクラート胃腸薬Sは胃粘膜保護成分以外にも制酸剤、消化酵素、漢方などがバランス良く配合されている総合胃薬です。個人的に特におすすめしている市販薬の1つです。

胃粘膜保護薬に関しては処方薬と市販薬の差はそれほどないと言えます。

ただし処方薬の胃粘膜保護薬の中には市販薬として販売されていないものももちろんあります。

胃粘膜保護薬は主として暴飲暴食によって出る胃の諸症状に対して優れた効果を発揮します。
例えば食べ過ぎた翌日の胸焼けです。胸焼けについては下記記事で解説しています。

消化管運動機能改善薬

市販薬で消化管運動機能改善薬を配合する商品としてタナベ胃腸薬<調律>があります。

タナベ胃腸薬<調律>には胃腸の働きを改善するトリメブチンという成分が配合されていて、弱っている胃の機能を改善したり、逆に胃が過剰に働いている場合にはそれを抑制する効果が期待できます。まさに「調律」ですね。

処方薬で消化管運動機能改善薬で最もよく出るという印象の「モサプリド(商品名:ガスモチン)」は現在市販薬として販売されていません。

そういう点からしても消化管運動機能改善薬においては市販薬と処方薬では差があるといえます

漢方、消化酵素

漢方、消化酵素に関しては市販薬と処方薬で大きな差はありません。

市販の胃薬で漢方、といえば「ありがとう、いいくすりです」のフレーズでおなじみの太田胃散ですよね。

市販の漢方胃薬については下記の記事でまとめました。
胃腸症状におすすめの市販の漢方薬を薬剤師が紹介【六君子湯、安中散など】

消化酵素については市販薬の総合胃薬に配合されている場合が多いです

また、消化酵素に特化したベリチーム酵素という商品もあります。

ベリチーム酵素は消化酵素だけというシンプルな商品で、配合成分は下記です。

・ビオヂアスターぜ1000
・リパーゼAP6
・セルラーゼAP3
・パンクレアチン

ビオヂアスターぜ1000の消化対象はでんぷん、タンパク質です。でんぷんはお米と考えてください。タンパク質はお肉です。焼肉でおいしいお肉とともにご飯も食べ過ぎた、という場合に効果が期待できそうですね。

リパーゼAP6の消化対象は脂肪です。前述の焼き肉や、シュークリームなどの甘いものの食べ過ぎによる胃もたれに効果を発揮するでしょう。(シュークリームって美味しいですよね、、、)

セルラーぜAP3の消化対象は繊維素です。

パンクレアチンの消化対象はでんぷん、タンパク質、脂肪です。万能ですね。

暴飲暴食による胃もたれにおすすめの市販薬です。

消化酵素は、消化不良が原因で起こる胃もたれには特におすすめです。
胃もたれについては下記記事で解説しています。

ピロリ菌除菌

ピロリ菌除菌で使われるのは胃酸分泌抑制薬PPI抗生物質2種類です。いずれも市販されていませんので市販薬での対応は不可となります。また、ピロリ菌陽性の診断が必要ですので受診が必須となります。

スポンサーリンク

市販薬の胃薬で対応できない場合とは?

市販薬の胃薬の強さ、処方薬との比較についてみてきました。

ここから市販薬では対応できない場合について解説していきます。

ずばり

長期間胃の不快な症状が改善しない場合

です。

あるいは

市販薬の胃薬を服用しても症状が改善しない場合

と考えても良いでしょう。

長期間不快な症状が続く場合、あるいは市販薬で症状が改善しない場合には胃潰瘍やピロリ菌、逆流性食道炎などの疾患の可能性があります。速やかに受診しましょう

特に逆流性食道炎では市販されていない胃酸分泌抑制薬PPIを使用するのが通常の治療です。市販薬での改善は見込めないため、なるべくはやく受診することが望まれます。胸焼け、のどのつかえ、起床時口が酸っぱい、咳(胃酸が刺激となって咳がでることがある)などの症状がある場合には受診しましょう。

また、胃潰瘍、胃がん等以外にも機能性ディスペプシアやピロリ菌など受診しないと診断できない疾患があることも見てきました。

とにかく症状が長く続く場合、市販薬を使用しても症状が改善しない場合には受診、と覚えておきましょう

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。

今回は処方薬の胃薬の種類や強さを解説した上で市販薬との比較、市販薬で対応できない場合等を解説してきました。

症状が続く場合や市販薬を使用しても症状が改善しない場合は迷わず速やかに受診しましょう。

また、市販薬を使用する場合は製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

タイトルとURLをコピーしました