下剤種類、選び方や状況ごとのおすすめを一挙紹介。効果でるまでの時間は?

下剤・整腸剤
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便秘の症状を改善する目的で使用される下剤

多くの方が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

便秘は症状が軽い場合日常生活に支障が出ることはほとんどないですが、ひどい場合には吐き気や食欲減退にもつながります。ひどい便秘には迷わず下剤を使いたいところです。

今回はまず下剤の種類について解説した上で「効果が出るまでの時間」や「状況別の下剤の選び方」について一挙に紹介します。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

おすすめの市販薬だけ知りたい方は解説をスキップしてくださいね。

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便秘の概要

便秘とは、本来あるべき便通が3日以上なかったり、排便があってもコロコロうんちだったりで残便感がある状態のことをいいます。

国内では潜在患者も含めると1000万人を超える方が便秘であるとされています。また、加齢に伴い患者が増える、男女比では女性の方が多いといった疫学的な特徴があります。

症状は上記のような排便状況ですが、ひどい場合には便秘により腹痛や食欲不振、吐き気などの症状がでることもあります。

なぜ女性に多いの?

便秘が女性に多い理由として

1.黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響
2.恥ずかしさなどから排便を躊躇うことが多い
3.男性よりも腹筋が弱い傾向にある

といったことが挙げられます。

黄体ホルモンには体内に水分を蓄えさせる働きがあり、この働きによって便の水分を大腸から吸収し、結果として便が硬くなります。

また、妊娠時によく起こる便秘にも黄体ホルモンが関与しています。
この場合黄体ホルモンが子宮筋の収縮を抑制(流産しないように)し、それが腸にも影響して腸の運動機能が低下します。

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便秘の分類

便秘は原因により4つに分けられます。

機能性便秘

よくある便秘のほとんどはこの機能性便秘に分類されます。

機能性便秘は多くの場合生活習慣の改善や市販薬の服用で症状軽快させることができます

機能性便秘は下記の3つに分けられます。

弛緩性便秘
痙攣性便秘
直腸性便秘

弛緩性便秘

弛緩性便秘とは、大腸の便を排泄する働きが低下するために生じる便秘です。
便が腸内に長く留まり、便中の水分量が減ることで固くなってしまいます。

運動不足、食生活の乱れ(食物繊維の不足)、水分不足などが原因となります。

便秘の中では頻度が高く、仕事中ずっと座っている方などがかかりやすい便秘です。

痙攣性便秘

痙攣性便秘とは、腸の緊張が高まることで便をうまく運べない状態です。

心因性のことが多く、普段ストレスの多い方、転勤、入学、新入社員など環境変化があった方などに起きやすいものです。

直腸性便秘

直腸性便秘とは、便が直腸(長い腸管の一番最後排便直前の部位)まで到達しても便意を催さず、直腸内に便がとどまってしまうタイプの便秘です。

便意を我慢(家以外でしたくない、痔で排便が痛い、恥ずかしいといった理由で)することの多い人、寝たきりの人などに生じやすい便秘です。

器質性便秘

器質性便秘とは、大腸や肛門をはじめ胃や小腸といった消化管で生じている何らかの疾患が原因の便秘をいいます。

例として腸閉塞があります。腸閉塞とは、お腹の手術後などに起きることのある、腸管が塞がったりねじれたりした状態ことです。

器質性便秘に関しては生活習慣の改善や市販薬で対応ができないため受診が必要です。

また、このような状況での下剤の使用は避けるべきです。腸管に穴があいてしまう「腸管穿孔」を起こす可能性があるためです。

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下剤は大きく分けて2種類+α

ここまで便秘について解説してきました。ここからは下剤についてです。

下剤は薬の作用の仕方により大きく

機械的下剤(非刺激性下剤)
刺激性下剤
その他

に分類されます。

機械的下剤(非刺激性下剤)

機械的下剤は非刺激性下剤とも呼ばれる(後述の刺激性下剤と比較してこう呼ばれることがある)下剤で、主として便に水分を含ませることで便を柔らかくすることで便秘の解消を目指す薬です。便に水分を含ませて便の容積が大きくなり、それにより生理的な大腸の働き(便を排出しようとする生理的な反応)を促進させるという刺激性下剤ににた側面もありますが、機械的下剤の場合には便が大きくなった結果として大腸の働きが促進されるのであり、これは薬の効果ではありません。あくまで便に働きかける薬です。(刺激性下剤の場合は大腸の働きを薬によって促進させる。便に対しては働きかけません)

下剤を飲んだ時のさしこみのような腹部の急激な痛みが出ることが少ない、常用することで薬が効きにくくなる「習慣性」が低いといったメリットがあります。

作用が比較的緩やかであるため緩下剤と呼ばれることもあります。

機械的下剤はさらに、マグネシウムイオンなどの塩類による浸透圧を利用した塩類下剤、その他膨張性下剤糖類下剤湿潤性下剤高分子化合物などに分類されます。

最も一般的に利用されている緩下剤である酸化マグネシウムは塩類下剤に該当します。

塩類下剤

市販薬:○

塩類下剤とは、浸透圧の原理を利用して便に水分を含ませることで便を柔らかくする、結果として困難であった排便を改善するといったものです。作用機序から浸透圧性下剤という分類にも属します。

マグネシウムイオンや硫酸イオンなどを取り入れた薬で、これらのイオンが腸管からは吸収されにくいという特徴を活かしたものです。酸化マグネシウムの場合はマグネシウムイオンが利用されます。

浸透圧とはすごく簡単にいうと、濃度の高い側と濃度が低い側では、濃度の高い側により多くの水分が移動することです。

塩類下剤は腸管を高浸透圧とすることで腸管側に水分を引き、腸管にある便に水分を含ませ柔らかくするという機序です。

代表的な塩類下剤
酸化マグネシウム(医療用医薬品:マグミット)

膨張性下剤

市販薬:なしといっていい

膨張性下剤とは、薬が水分を吸収し、結果として便のカサが大きくなることで排便を促す下剤です。

代表的な膨張性下剤
カルメロースナトリウム(医療用医薬品:バルコーゼ)

糖類下剤

市販薬:あり

糖類下剤とは、浸透圧性下剤の一種で、腸管で吸収されにくい糖類を利用して腸管内の浸透圧を高めることで腸管の水分量を増やして便秘を改善する下剤です。

代表的な糖類下剤
ラクツロース(医療用医薬品:モニラック)

湿潤性下剤

市販薬:あり

界面活性作用を利用することで便の表面張力を低下させ、便の水分量を増やすタイプの下剤です。便を柔らかくし便秘改善を目指します。

代表的な湿潤性下剤
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(医療用医薬品:ビーマス)

高分子化合物

市販薬:なし

ポリエチレングリコールという物質を下剤として使うことがあります。ビニール袋みたいな名前ですね。お薬と一緒に飲んだ水分が便中排泄されます。

経口腸管洗浄薬として,大腸の検査などの前に使用されます。また、医療用医薬品のモビコールという商品が販売開始以来、慢性の便秘に対しても使用されることが増えてきています。特に小児の便秘に対しては、ここ2~3年でモビコールが使用されることがぐっと増えたなというのが調剤薬局で働いていての印象です。

刺激性下剤

便を排出しようとする腸の運動を蠕動運動といいます。刺激性下剤とはこの蠕動運動を薬の働きにより亢進するタイプの下剤で、刺激性下剤は主にアントラキノン系、ジフェノール系、ジフェニルメタン系に分類されます。

緩下剤と比較して腹痛が起きやすい、習慣性があるというデメリットがありますが、効果は比較的強いです。

アントラキノン系

市販薬:あり

アントラキノン系には刺激性下剤の中で圧倒的に使用頻度が高いセンノシドが分類されます。

アントラキノン系は腸内細菌の分解により瀉下効果のあるレインアンスロンという物質となり排便を促します。さらに水分吸収の阻害を通して便に水分を含ませる作用もあるとされています。

また、長期の服用により大腸壁が黒くなる大腸メラノーシスになることがあります。これは、粘膜の色が黒くなることで、これそのものは病気ではありません。

漢方薬で下剤として使われることの多いのは大黄甘草湯ですが、大黄甘草湯の構成生薬のうち瀉下成分である大黄にはアントラキノン類が多く含まれています。

市販でおすすめの漢方下剤については下記の記事で解説しました。
おすすめの漢方薬下剤を紹介。便秘時はこの漢方【市販薬・大黄甘草湯】

代表的なアントラキノン系刺激性下剤
センノシド(医療用医薬品:プルゼニド)

ジフェノール系

市販薬:あり

ジフェノール系刺激性下剤には腸内細菌によりジフェノールメタンという瀉下効果のある物質となり排便を促します。

アントラキノン系と同様に水分吸収阻害作用もあるとされています。

代表的なジフェノール系刺激性下剤
ピコスルファート(医療用医薬品:ラキソベロン)

ジフェニルメタン系

市販薬:あり

ジフェニルメタン系は、大腸粘膜に直接作用して便通改善を目指すものです。市販薬では内服薬に配合されている商品がありますが、医療用医薬品では坐薬として使用されています。

代表的なジフェニルメタン系刺激性下剤
ビサコジル(医療用医薬品:テレミンソフト)

その他

浣腸:市販薬あり
最近の薬:市販薬なし

下剤で忘れてはいけないのが浣腸です。市販、医療用医薬品問わず汎用されているグリセリン浣腸もかなりポピュラーな存在ですね。

グリセリン浣腸①直腸(大腸の中で一番肛門に近い部分)を直接刺激 ②水分を含ませ便を柔らかくする ③便の滑りをよくするといった作用により強力な瀉下作用を示します。

その他医療用医薬品では近年様々な作用機序の下剤が登場してきており、排便に関与する胆汁酸に着目したグーフィス、腸管上皮表面のグアニル酸シクラーゼC受容体という部位に作用するリンゼス、小腸上皮にあるクロライドチャネルに作用するアミティーザなど便秘治療の選択肢が増えています。(話が少しマニアック過ぎましたね。。。)

下剤の効果発現まではどのくらい時間がかかる?

次に下剤の効果発現までの時間についてです。

まず内服薬については基本的にはすぐには効きません

どの薬でもおおよそ8時間程度(効果発現が非常に早い稀な場合でも2時間程度後)経った後に効果が出始めます。もう少し時間の範囲を広く言えば、服用から6~12時間後に効果が発現すると考えるのが一般的です。

効果発現時間については「寝る前に服用して朝に効果が出てくる」というくらいのイメージで捉えると良いでしょう。

ここで少しヒトの身体について考えてみましょう。

人間の食道は口から肛門まで一本の管のように繋がっています。

経口摂取の下剤の場合口から摂取して、食道の最後の部分である肛門付近~大腸あたりで効果が発揮されるお薬ですので効果発現に時間がかかるというのは納得のいく話であると思います。

余談ですが食道について、外界から外界へとつなぐ一本の管であるため、食道が身体の内か外かについては体外と考える方もいらっしゃいます。

ウイルス性胃腸炎で下痢や嘔吐をあえて止めず、嘔吐や下痢とともにウイルスを外に出し切ってしまえば治ることがほとんどであるというのはよく知られた話であると思います。これは食道は体外であるのかということを考える上で参考になる考え方、治療方ですね。

即効性のある下剤はこれ

それではすぐに効く下剤はないのかというと、そんなことはありません。もちろんあります。

効果発現までの時間が短いのは浣腸や坐剤といった肛門から挿入するタイプの下剤は効果発現までの時間が非常に短いです。およそ数分~20分程度で効果が出ると考えられています。

これは単純な話なのですが、作用を期待している部分である大腸に近いのは口ではなく肛門ですよね。なので肛門から投与する浣腸や坐剤の方が内服の下剤よりも早く効くと考えて良いでしょう。

投与後すぐに効果が出るというのは、言い換えると自分で排便したいタイミングで排便できるということでもあります。これは非常に大きな長所で、内服薬の下剤では「この時間に排便する」ということを期待することは難しいです。排便はデリケートなことであるため薬を使う場合に排便時間を決めたいという方は少なくないと思います。

例えばあと1時間以内に排便を済ませたい、というような場合には浣腸や坐剤一択です

状況別下剤の選び方とおすすめの市販薬

ここからは状況別の下剤の選び方について解説していきます。

初めて下剤を飲む

まずは初めて下剤を飲む場合です。最近便秘が気になっていて、下剤の購入を考えているけどどれがいいのかわからないといったケースです。

この場合のおすすめは緩下剤であり、習慣性が低く、下剤特有の急激な腹痛が起きづらい酸化マグネシウムです。酸化マグネシウム機械的下剤(非刺激性下剤)に分類されます。

酸化マグネシウムは腸内の浸透圧をあげることで腸内の水分量を増やし、結果として便にも水分を含ませ、便を柔らかく、そして便のカサを大きくすることで自然な排便を促すお薬です。

最も一般的に広く使用されている下剤であり、作用も緩徐であるため初めて下剤を服用しようと考えている方におすすめです。

現在市販薬でも数多くの酸化マグネシウム配合の下剤が販売されています。

便が硬くコロコロしている場合

この場合も便に水分を含ませることで排便を促す酸化マグネシウムがおすすめです。

前述の通り酸化マグネシウム機械的下剤(非刺激性下剤)に分類される緩下剤です。

コロコロではあるものの通じがあるという状態というのは、腸の動きは正常であるが便が固い、と考えられます。

便がすっきり出ない、残便感がある

便がすっきり出ず、残便感があるという状況では腸の動きがいつもよりも弱っているということが考えられます。

この場合は便に働きかけるタイプよりも腸に働きかける刺激性下剤がおすすめです。

カイベールC刺激性下剤であるセンノサイドビサコジルを配合成分とする市販薬です。

緩下剤が効かない場合

次は酸化マグネシウムをはじめとした緩下剤(便に水分を含ませることで排便を促す機械的下剤)が効かない場合です。

この場合、腸に直接働きかけ、腸が便を出そうとする動きである蠕動運動を促進する刺激性下剤がおすすめです。

カイベールC刺激性下剤であるセンノサイドビサコジルを配合成分とする市販薬です。

漢方を服用したい

ドラッグストアの下剤コーナーに行くと漢方の名前も数多く見かけると思います。タケダ漢方便秘薬などは代表的ですね。

今回ここで紹介するのは漢方成分を漢方らしくのみたいという方におすすめのものです。

大黄甘草湯は便秘に対する代表的な漢方の処方です。

顆粒タイプのものを白湯に溶かして服用することで漢方の香りを楽しむことができます。

とにかく今すぐに排便したい

次は今すぐに排便したいという場合です。

こうした場合には浣腸や坐薬といった肛門から挿入するタイプのお薬一択です。

前術の通り経口で服用するタイプの下剤と肛門から挿入するタイプの下剤の作用発現時間には大きな差があります。

肛門から挿入するタイプの中でもグリセリン浣腸が特におすすめです。効果は数分~20分程度の間に出る場合がほとんどです。

グリセリン浣腸は以下の作用により強力な瀉下作用を示します。

・直腸(大腸の中で一番肛門に近い部分)を直接刺激
・水分を含ませ便を柔らかくする
・便の滑りをよくする

便秘による腹痛で眠れない、今日これから出かけるのにお腹が張っている等、今すぐに排便しておきたいという場合は以外にも多いのではないでしょうか。そういった場合には浣腸の使用を検討してみたはいかがでしょうか。

市販薬がどれも効かない

最後にいずれの市販薬も効かないという場合です。

この場合は受診を推奨します。(当たり前ですが)

前述のように近年医療用医薬品には新しいタイプの下剤も複数登場しており便秘治療の選択肢は増えています。市販薬が全部効かない場合でも諦めず、受診をしてみましょう。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。

下剤にはたくさんの種類があること、状況別の選び方などを理解していただけたでしょうか。

その時々の状況で最適な下剤を選ぶ上で今回の記事を参考にしていただけると幸いです。

※お薬の使用時には製品パッケージに記載の注意事項をよく読み自分が使用しても大丈夫なのか確認の上、用法用量を守って正しく使いましょう。

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